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 GAME REPORT

 2020年のレギュラーシーズン最終戦。その相手はリーグ4連覇中の絶対王者、富士通フロンティアーズである。前節での屈辱の敗戦からはや2週間。眼前にそびえ立つ今シーズン最大の壁をいかにして突破するか。多くの反省と改善を繰り返し、立ち止まることなくもがき続けた。平日から様々なメンバーによる発信が相次ぎ、この試合に向けてプレー面のみならず気持ちの面でも高めあってきた。ときには取り組み方などにおいてチーム内で対立し、争う場面もあった。しかし、それらも全ては今日この日に勝つために。選手だけでなくコーチやスタッフも含めたチーム全員が昨年以上の強い思いを胸にして、今季初の遠征となる敵地川崎へと乗り込んだ。冬の到来を控え最後の暖かさを与えてくれる、そんなまばゆい日差しが降り注ぐ昼下がりの14時。富士通のキックオフによって試合は開始された。

 最初のファイニーズオフェンス。連続してパスプレーを選択するが、思うように前進することができない。サードダウンロングとなったところでQB#19コーディがパスを投じたが、このボールを富士通守備陣にインターセプトされてしまう。ファイニーズ陣23ヤード地点からの富士通オフェンス。ファイニーズとは対照的に連続してランプレーを使用してくる。コンスタントに前進を許すと、最後は右オープンのランプレーで10ヤードを走りきられタッチダウン。たった4プレーで早々と富士通に先制されてしまった。(0-7)
 続くファイニーズディフェンスでも、最初のパスプレーで47ヤードのロングゲインを許してしまう。再び失点のピンチを迎えたが、ここで相手QBが投じたパスをDB#20木村がインターセプト。前節でも2つのインターセプトを決めたディフェンスのビッグプレーメーカーが、この場面でもチームや会場を沸かせてくれた。なんとか得点をあげたいファイニーズオフェンス。富士通ディフェンスの激しいプレッシャーをかわしてコーディからWR#21オヌワーへのパスが決まり、初めてファーストダウンを獲得する。しかし、後がなかなか続かない。対する富士通オフェンスはランパス共にバランスよく織り交ぜゲインを重ねていく。反撃を断ち切りたいところだったが、最後は11ヤードのランでタッチダウン。追加点を許してしまった。(0-14)

 このままでは終われないファイニーズオフェンス。コーディから#87高尾への22ヤードパスが決まり前進する。ランプレーではRB#44白神が連続して10ヤード以上獲得するなど執念を見せる。良いテンポで前進を続けていたのだが、ここでタッチダウンを狙ってコーディが放ったパスを、再び富士通守備陣にインターセプトされてしまい攻守交代。チャンスを逸し得点することができなかった。
 苦しい状況の中、粘りたいファイニーズディフェンス。DB#2中川やDB#14長井のロスタックル、DL#9ローリングスの2シリーズ連続サックなど気迫のこもったプレーが飛び出しチームを鼓舞してくれる。しかし、数回のロングゲインを許すと、36ヤードのフィールドゴールを決められてさらに3点を追加された。(0-17)
 前半最後のファイニーズオフェンス。コーディが激しいプレッシャーをかわしながら、オヌワーや高尾にパスを決める。右や左にバランスよく展開し、ゴール前21ヤードまで前進していく。そして最後はK#16多田羅が38ヤードのフィールドゴールを成功。なんとか得点をあげ、3-17で前半を折り返した。

 後半最初のキックオフ。流れをこちらに呼び寄せたいファイニーズはここでオンサイドキックを選択。ギャンブルプレーに打って出た。しかし、無情にもボールは相手に確保されてしまう。無失点で切り抜けたいところであったがそのままずるずると攻め込まれてしまい、最後は16ヤードのパスを決められタッチダウン。粘ることができぬまま、後半も早々に追加点を許してしまった。(3-24)
 このまま点差を離されたくない。WR#84金岡の連続キャッチでファーストダウンを獲得するなどオフェンスも要所で執念を見せる。しかし、ここでもサックを許してしまい、継続してドライブすることができない。対する富士通オフェンスはランパス共にバランスよくゲインを重ね、ゴール前10ヤードまで侵攻する。再度失点のピンチを迎えたが、ここでDB#29中村のタックルによって相手がボールをファンブル。フィールドを転々としているボールをDL#90利根川がリカバーして攻守交代。ビッグプレーによって無失点で切り抜けることができた。
 この流れをものにしたいところであったが、オフェンスはあっさりと3回で攻撃を終えてしまう。ディフェンスはローリングスの三度目のサックがありタッチダウンは許さなかったものの、33ヤードのフィールドゴールを決められてしまいまたも追加点を許す。(3-27)

 試合は最終クウォーターへ。意地を見せたいファイニーズオフェンス。TE#88川瀬への29ヤードパスや相手の反則などによってゴール前6ヤードまで侵攻する。このチャンスになんとしてもタッチダウンを奪いたいところであったが、その6ヤードが遠い。フォースダウンとなったところでギャンブルを選択。エンドゾーン内を狙ってコーディがパスを投じた。しかし、これをまたもや富士通守備陣にインターセプトされ攻守交代。ここでも得点することができなかった。富士通は自陣2ヤードという深い位置からのオフェンスであったが、精度の高いパス攻撃によってゲインを重ねられる。最後は29ヤードのパスを決められてタッチダウン。終盤にも追加点を許してしまう。その後もオフェンスは得点することができぬまま試合終了。3-34と完敗の結果となってしまった。

 チームとして全てを出し切る決意をして臨んだ試合であったが、本来の実力を発揮することもできぬまま最後まで主導権を奪うことができなかった。オフェンスは終始相手のプレッシャーに苦しみ計7サックを献上。コーディはプレッシャーを常にかわしながらパスを投げることを強いられ、その中で3度のインターセプトを喫してしまった。ホットラインのオヌワーへのパスは7回71ヤードと健闘したが、タッチダウンを奪うには及ばなかった。ディフェンスは国内最強と目されるOL陣に対して計5サックと富士通戦としてはここ数年で最多の回数を記録。インターセプトやファンブルも1回ずつ奪うなど随所に好プレーが見られた。しかし、精度の高い相手のプレーに対応しきれず、4タッチダウン2フィールドゴールと失点を防ぐまでには至らなかった。ここ2試合は攻守蹴がかみ合わないことが多く、ディフェンスによるビッグプレー後のオフェンスがあっさりと無得点で終わってしまったり、オフェンスによるロングドライブ後のディフェンスがたった数プレーで失点してしまうなど、お互いがチャンスを活かしきれない歯がゆい試合展開となってしまった。これではいくら実力をつけても試合に勝つことはできまい。新型コロナウィルス感染症の影響による環境の変化も原因のひとつとして考えられるだろうが、そういった言い訳を並べていてはいつまでたっても上位チームとの差が埋まることはない。結果が出せなかったことを真摯に受け止めて反省し、来年はさらに高い位置での景色を眺めたい。翌日の神戸でのミーティングにおいても、やりきった、満足であるといった内容の発言をする人はおらず、全員が悔しい気持ちをにじませていた。そういった気持ちがある限り、チームとしてこれからも成長できるはずである。

 今年果たせなかった日本一は来年こそ。この悔しさを糧にして、必ずその高みへと到達したい。

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