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 GAME REPORT

 我々ファイニーズはついにベスト4、プレーオフ準決勝にコマを進めることができた。Japan X Bowlをかけた大一番。その相手は富士通フロンティアーズである。ここまでリーグ3連覇中の絶対王者に対し、いかにして勝機を見いだし東京ドームへの扉をこじ開けられるか。レギュラーシーズンが終わってからのち、そこに向けて選手、コーチ、スタッフ全員が日々考え行動していた。平日の夜にもミーティングのために集まり、自他のプレー理解を深めて少しの勝つ可能性をも見逃さず探ってきた。もちろん頭脳面だけではなく、トレーニングなどの地道な努力においても、手を抜くことなく試合直前まで継続してきた。土曜日の試合であったが、前日の金曜日からチームとして集まり、夜遅く最後の最後まで準備を怠らなかった。そういった勝ちたい気持ちはどのチームにも負けない。今シーズンで最も強く勝利を願い、信じ、臨んだ試合であった。決戦の時刻は13時。敵地川崎にて、ファイニーズのキックオフによって試合は開始された。

 富士通オフェンスのファーストプレーはラン。最も警戒すべきエースRBグラントのランを止めたいところだったが、左のオープンスペースをいきなりまくられる。密集地隊を一瞬で抜き去られてしまいそのままタッチダウンかに思われたが、後ろから追いかけてきたDL#9ローリングスがエンドゾーン手前でなんとかタックル。一発でのタッチダウンは免れた。しかしその後7ヤードのタッチダウンパスを決められてしまい、開始早々に先制を許してしまう(0-7)。
 続くファイニーズオフェンス。RB#44白神のラン、WR#21オヌワーへのパス、RB#22川淵のランによって着実にゲインを重ねていく。いい流れでドライブできていたのだが、ここでQB#19コーディが投じたパスを富士通守備陣にインターセプトされてしまった。ビッグプレーによって得た相手の好機を何としても止めておきたいファイニーズディフェンス。しかし、精度の高い攻撃にジリジリとゴール前まで侵攻されてしまう。最後は5ヤードのパスを決められタッチダウン。追加点を許してしまった(0-14)。

 このまま相手ペースに飲み込まれ、ただただ突き放されてしまうのか。そんな試合をするために来たわけではない。ここでディフェンスが意地を見せる。相手QBがパスを投じようとしたところでローリングスが真ん中から猛烈なラッシュで突進し、見事にサックを決める。サードダウンロングとなった次の攻撃でも今度はDL#52木保が立て続けに連続サック。ここまでの嫌な流れを一気に打ち消し、チームに勢いを与えた。
 オフェンスでもWR#87高尾がパスをキャッチしてからセカンドエフォートでロングゲインを獲得。気持ちのこもったプレーが随所に見られた。しかし、ドライブの継続までには至らずなかなか得点することができない。そんな中でもディフェンスは大事なサードダウンでDB#20木村やDB#29中村が連続して相手のパスをカット。要所での大きな粘りを見せた。しかし、前半終了間際に相手に44ヤードのフィールドゴールを決められてしまい、0-17で折り返した。

 このまま負けて終わっていいはずがない。強い気持ちを持って臨んだ後半最初のファイニーズオフェンスがチームの底力を見せる。オヌワーへのパス、RB#24芦田のラン、コーディのスクランブルなどでファーストダウンを次々と更新。一回のゲインは少ないものの着実に敵陣へと侵攻していく。得点圏まで来ても攻撃の手は全く緩めない。ここはフィールドゴールの3点で終わるのではなく、必ずタッチダウンまで持っていく。大事なサードダウン残り1ヤードはWR#7森へのパスを決めてファーストダウンを更新。ここまで執念でつないできたドライブを、最後はエンドゾーン内でフリーになった高尾がパスをキャッチしてタッチダウン。16回83ヤード、およそ9分にも及ぶ今シーズン最長のタッチダウンドライブを見事完結させ、ついにファイニーズがこの試合初得点を挙げた(6-17)。
 チームに大きな勢いを与えたロングドライブによって流れがこちらに傾いたかに見えた。しかし、相手は富士通。甘くはなかった。続くオフェンスは2回のランプレーで60ヤード以上のゲインを許すと、最後は11ヤードのパスをサイドライン際に決められタッチダウン。たった3プレーで追加点を許してしまった(6-24)。

 第4Qにも16ヤードのタッチダウンパスを決められ、さらに突き放されてしまう(6-31)。
 しかし、このままでは終われない。オフェンスが再び意地を見せる。WR#26永見へのパス、コーディのスクランブル、再び永見へのパスなどによってゴール前8ヤードまで侵攻する。最後は川淵がランで左オープンを走りきりタッチダウン。再び気迫のこもったプレーで相手に追いすがった(13-31)。しかし、反撃もここまで。最後まで諦めず果敢に攻め続けたが及ばず、13-31での敗戦となってしまった。

 できる最大限の準備をし、持てる全てをぶつけたが、力及ばず敗退の結果となってしまった。やはり富士通は強い。随所にそういうシーンをまざまざと見せつけられた。だが、ファイニーズも多くの見せ場を作ることができた。特に第3Qのタッチダウンを奪ったオフェンスのロングドライブは今年最も気迫のこもったドライブとなった。
 ディフェンスもRBグラントのランを最後まで止めることはできなかったが、要所でサックやパスカットを決めるなど好プレーを見せることができた。
 キッキングゲームも見逃せない。今シーズンは偶然にも試合開始が全てファイニーズのキックオフから始まり、それをK#12山崎は全てタッチバックにするという素晴らしい結果を出してくれた。相手にロングドライブを余儀なくさせ、常にフィールドポジションを優位に保ってきた。ファイニーズは第1Qでの失点が最も少なかったことが、その意味の大きさを物語っている。キッキングによる良いフィールドポジションからディフェンスが粘り、オフェンスが得点につなげるという攻守蹴が噛み合う試合運びができたこと。それがベスト4進出の大きな要因だっただろう。

 プレーオフ準決勝での敗退となったことで、今年のファイニーズの挑戦はこれで終了してしまった。しかし、チームは翌日からすでに来年に向けて動き出している。今年の課題を見つめて勝つために足りなかった部分を補い、来年こそは必ず東京ドームへ。ここまで来たからにはそれを夢で終わらせるつもりはない。夢を現実にするために。来年こそは必ず、強くそう期して。

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