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 GAME REPORT

 第4節の相手はIBMビッグブルー。昨年は2度対戦し、どちらとも負けている相手である。特にプレーオフでの敗戦によって昨シーズンは終了してしまったことから、その借りを返すべく臨んだ試合でもあった。IBM戦に向けての練習やミーティング中はもちろん、全体での活動がない平日であっても今まで以上に多くの意見が飛び交うなど、チーム全員が昨年のリベンジと今年のプレーオフ進出を強く期していた。そうした勝利への強い気持ちを胸に、今季初めての遠征となる敵地川崎へと乗り込んだ。
 フィールド上空にはどんよりとした雲が覆う中、ファイニーズのキックオフで試合は開始された。最初のIBMオフェンス。アップテンポのノーハドル攻撃によって次々とプレーを繰り出してくる。そうした中でQBクラフトからTEスタントンやWR近江へのロングパスを決められゴール前22ヤードまで侵攻された。しかし、ここでDL#9ローリングスの強烈なサックがクラフトに炸裂。よいテンポで進まれていたドライブをなんとか断ち切ることができた。フォースダウンで44ヤードのフィールドゴールを決められたが、タッチダウンは許さず最小限の失点にとどめることができた(0-3)。
 続く最初のファイニーズオフェンス。小さなゲインをコツコツと重ねて敵陣に侵攻すると、ここでRB#44白神が中央突破。力強い走りでIBMディフェンス陣を置き去りにすると、そのまま48ヤードを走りきってタッチダウン。最初のシリーズで早々に逆転に成功した(7-3)。
 そのオフェンスの勢いはディフェンスにも伝播していく。2シリーズ連続でサードダウンのパスプレーに対し、DB#40久高とローリングスがそれぞれサックを決める。敵陣からの絶好の位置でオフェンスにボールが渡ると、そのシリーズをWR#21オヌワーへの15ヤードタッチダウンパス、RB#22川淵の45ヤードタッチダウンランで完結させ、1Qで早くも21-3と大きくリードを取った。

 しかし、2Qに入ってからは自らのミスにより流れが相手に傾いていく。最初のオフェンスでQB#19コーディの投じたボールをIBMデイフェンス陣にインターセプトされる。その後、わずか6プレーで相手にタッチダウンを許してしまった(21-10)。
 続くオフェンスでもランプレー中にボールをファンブルし、相手に攻撃権を献上してしまう。勢いを取り戻したIBMオフェンスはロングドライブを継続、最後はスタントンがQBの位置にセットするワイルドキャットフォーメーションから自分でエンドゾーンにボールを持ち込みタッチダウン。21-17と点差を4点まで縮められてしまった。しかし、ここで嫌な流れを大きく変えるビッグプレーが生まれる。点を取られた直後のファイニーズのキックオフリターン。相手キッカーの蹴り込んだボールはエンドゾーン内へ。そのボールをキャッチしたリターナー#1ショーンはタッチバックを選択せずにリターンへと向かう。左サイドの大外へと回り込むとそのままトップスピードで密集地帯を駆け抜ける。最後に残ったカバーチームのタックラー2人はスティフアームによって豪快にいなしエンドゾーンへ。105ヤードを走りきるキックオフリターンタッチダウンを決めた(28-17)。これにより、流れは一気にファイニーズへと傾くかに見えたが、ここで崩れないのが強豪IBMである。続くオフェンスはたった2プレーでタッチダウンを取り返し、再び4点差とされてしまう。そしてこの点差のまま前半が終了した(28-24)。

 3Q最初のファイニーズディフェンス。ラン2回で50ヤードを前進され、あっという間にファイニーズ陣に侵攻される。しかし、サードダウンのパスプレーでローリングスがこの日3度目のサックを炸裂させる。大きく下がったIBMはパントで攻撃権を放棄せざるをえなかった。その後のファイニーズオフェンス。相手の反則などにも助けられながら着実にゲインを重ねていく。タッチダウンにこそ至らなかったものの、17プレーものロングドライブを継続させ、最後は山崎が20ヤードのフィールドゴールを決めて追加点を挙げた(31-24)。

 4Qに入り、IBMは用意しているカードを次々と切ってくる。まずは近江のリバースプレー。右サイドをトップスピードで駆け抜けられ36ヤードのロングゲインを許し、一気にファイニーズ陣に侵攻される。その後ゴール前2ヤードまで攻め込まれると、最後は195cm123kgの大型DLブルックスがWRに入りパスをキャッチ。ファイニーズディフェンスのダブルカバーをものともせずフィジカルで圧倒されてしまい、ついに同点に追いつかれた(31-31)。
 しかし、この日はこのまま終わるファイニーズではなかった。続くオフェンスシリーズ。普段はアウトサイドに位置しているオヌワーがインサイドの位置にセットする。そしてコーディからのパスをフィールド中央でキャッチするとそのまま快足を飛ばしてエンドゾーンへ。63ヤードを一気に走りきってタッチダウン。すぐさま勝ち越しを決めた(38-31)。
 ファイニーズオフェンスの勢いをそのままに相手の攻撃を止め切りたいディフェンス陣。しかし、そう簡単に止めさせてくれる相手ではない。ランパス共にバランスよく散らして着実にゲインを重ね、最後は今季のエースレシーバー近江への12ヤードパスが決まりタッチダウン。トータルでおよそ4分、75ヤードのロングドライブを完結、再び同点に追いつかれた(38-38)。
 延長タイブレークも見えてきた中でのファイニーズオフェンス。コーディから川淵へのランフェイクに対してディフェンス陣は前がかりになる。その裏へ抜け出したこの日大活躍のオヌワーへパスがヒット。そして相手のタックルを軽々とかわし、そのまま45ヤードを走りきってタッチダウン。試合終了まで残り1分6秒。再度の勝ち越しに成功した(45-38)。
 IBMの最後のオフェンスシリーズ。要所でクラフトからスタントンへのホットラインのパスが決まり、ファイニーズ陣に侵攻される。試合終了まで残り10秒。最後はクラフトからスタントンへのバックパス、そこからさらにスタントンがロングパスを投じるというスペシャルプレーを試みる。しかし、ファイニーズディフェンスはそれを読んでいた。スタントンがボールをキャッチした瞬間にショーンがタックルを決め、そこからパスを投じることすら許さなかった。インバウンズで大きくロスを奪い、時計はそのままゼロに。45-38という下馬評通りのハイスコアゲームの末、ファイニーズの劇的な勝利によって試合は幕を閉じた。

 昨年は非常に悔しい敗戦を経験した相手に対して見事に勝利することができた。その要因のひとつはなんといってもキッキングゲームであろう。昨年は2試合でキックオフリターンタッチダウンやパントブロックからのタッチダウン、さらにプーチキックを相手にリカバーされるというミスも犯してしまい、それらが大きな敗因となってしまった。しかし、この試合では山崎が8回のキックオフのうち6回をタッチバックに持ち込むことで、相手にリターンする機会すら与えなかった。逆にファイニーズはキックオフリターンタッチダウンを決めており、このキッキングゲームによるアドバンテージは非常に大きかった。
 オフェンスはコーディとオヌワーのホットラインが爆発したのはもちろん、ライン戦での健闘も見逃せない。昨年は2試合合計でランがおよそ30回50ヤード、サックは7度におよぶなど相手のディフェンスフロント陣にかなり苦しめられていた。しかし、この試合ではラン17回で119ヤード2タッチダウン。サックもわずか1回であったことから、ファイニーズがライン戦で優位に立っていたと言っていいだろう。
 ディフェンスはトータル38失点と手放しで喜べる結果ではなかったが、ローリングスを筆頭に計4サックを決め、要所でのビッグタックルやナイスカバーによって強力なIBMオフェンスに対し粘り強く守ることができていた。こうして、前節同様攻守蹴そしてコーチやスタッフが一丸となって掴んだ勝利であった。
 しかし、この試合はあくまでも通過点である。我々の目標はJapan X Bowl出場であり、今後はIBM以上の強敵との試合が控えている。その相手に対しても臆することなく、この勝利の勢いをそのままに全力でぶつかっていきたい。

点数

 NEXT GAME HIGHLIGHT

 IBMビッグブルー戦に45対38で勝利し、昨年の雪辱を果たしたファイニーズ。第5節はXリーグ三連覇中の富士通フロンティアーズとの対戦になる。全てのポジションにオールジャパン級の選手をそろえており、オフェンス、ディフェンス共に隙のない相手である。
 富士通オフェンスはQB#3バードソン、QB#18高木が共にこれまでの試合で好調なパフォーマンスを見せており、新加入のRB#29のグラントは第4節を終えてリーグのリーディングラッシャーであり、1回平均10ydを超えるランは非常に脅威である。しかし、最も注目をすべきはそれを支えるリーグ最強と言っていいOL陣であろう。特に第2節のパナソニックインパルス戦ではリーグ屈指の強さを誇るパナソニックDLをほぼ完璧に抑える内容を見せており、彼らの活躍なくしてここまでの成績は残せていないだろう。
 ファイニーズは前節では4サックを上げたものの、ターンオーバーは奪えず、失点38と手放しで喜べる内容ではなかった。前節で3サックを上げたDL#9ローリングスを中心にいかにして富士通OL陣を突破してプレッシャーをかけ、リーグトップのインターセプトを記録している#20木村を筆頭に、DB陣が富士通のパスをカバーできるかが大事となる。
 一方、富士通ディフェンスに関して言うと、オフェンス同様どのポジションも強力だが、やはり中心となる選手はDB#40アディヤミ選手であろう。2013年から去年まで6年連続でオールXに選ばれており、その卓越したパスカバー能力はXリーグ一と言っても過言ではない。前節で10キャッチ、185ヤード、3TDと勝利の立役者となったWR#21オヌワーとのマッチアップは見ごたえのあるものとなるだろう。

 ファイニーズが更に上のステップに向かう上で真価が試される一戦になります。ぜひとも応援のほどよろしくお願いいたします。